テニスのフォアハンドって本当に難しいですよね。
鈍い音がしてネットに届かないことがあれば、ラケットフレームに当たってポ~ンッと打ち上がってしまうこともあります。打点は正しいはずなのにうまく打てない時はガッカリ。
特にフォアハンドはバックハンドと違って片手で打ちますから、フォームが崩れやすいってのはあります。
さらに、自分のフォームが定まっていない初心者は変なクセが付きやすく、練習しても上達どころか自信を無くす結果につながります。
でも、テニスにおいてフォアハンドは最も基本的な技だと思うんですよね。多くの選手はフォアハンドを軸に攻撃を仕掛けますし、初心者こそ確実にマスターしておきたい技術。
そこで今回は、フォアハンドが安定しない原因と、その解決策を書いていきます。実際に僕が意識していて効果を実感していることばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
なぜフォアハンドが安定しないのか?原因について
様々な原因から打点が一定ではない
「安定しないのは打点が一定じゃないからだ!」とはよく言われること。
しかし、どうして打点を一定に保てないのか真剣に考えたことはありますか?
これにはいくつか原因があります。
- つま先に重心を置けていない
- ボールを見すぎてスプリットステップを怠っている
- ボールの軌道を予測できていない
- 足が止まるのが早く、十分に移動できていない
つま先に重心を置けていない
一見、「つま先」と「打点」は全く関係ないように思えます。
しかし、どこに重心を置くかは、動き出しにとても重要です。
例えば、初心者が構えているところを見ると、棒立ちになってかかとに重心を置いていることが多いです。また、普段は動けているのに、試合になると緊張してかかとに重心を置いてしまっている人が見受けられます。
歩く時、走る時、ジャンプする時。どんな時も動き出しはつま先で地面を蹴りますよね。かかとで地面を蹴ることはまずない。
ということは、かかとに重心を置いているとその分「かかと→つま先」の重心移動が必要になり、タイムロスが発生するのです。
相手の返球が遅い場合でも、コート上にいる時は常につま先に重心を置いて、素早く動けるようにしておきましょう。
ボールを見すぎてスプリットステップを怠っている
自分が打ったボールの行方を見過ぎると、体の動作が遅れてしまうことがあります。
そうしてスプリットステップが遅れてしまえば、相手の返球に追いつけなくなり、理想の打点でスイングすることが難しくなってしまいます。
ボールを打った後は、相手のポジションに合わせて対応できる場所に移動し、相手のインパクトで忘れずにスプリットステップを踏むようにしましょう。
ボールの軌道を予測できていない
相手がボールを打った時に、ある程度、軌道の予測はできているでしょうか?
これができていないと、打点を一定に保つことはできません。
浅いボールが来ると、前に慌てて走って、デタラメなフォームでギリギリラケットで返球している。深い山なりのボールが来た時にいつも打点の高さが肩辺りで窮屈に感じている。これらはNG!
まず、相手が打ったら前後にどの程度動いたらいいか早く察知するようにします。
あまり伸びてこないようなボールは早く前に移動し始める。山なりのボールが来たらコートの後ろのほうに下がり、正しい打点の位置までボールが落ちてくるのを待つ。
相手のボールに先回りし、しっかり準備を完成させることで、万全のショットが打てるようになります。
足が止まるのが早く、十分に移動できていない
よくあるのが、まだ移動する時間があるのに足を止めてしまうこと。こんなことだと、結局腕が伸びきった状態でツラそうに打つことになってしまいます。
テニスDVD『ゲイブ・ハラミロのMAKING CHAMPIONS』の「アジャストメント・ステップ」を見て改めて感じましたが、ショットを打つギリギリまで細かく足を動かし、ベストな打点で打つことがとても大切。
案外ボールが近付いてくると、「もう少し動いたほうが良かったなぁ」と思うこともありますしね。
最後の最後まで足の役割は重要だということです。
スイングのフォームが一定ではない
いくら良い打点で打てていても、フォームがバラバラだとボールは安定しません。
では、どうしてフォームが崩れてしまうのでしょうか?
- テイクバック(準備)が遅い
- 腕がリラックスしていない
- 体全体を使って打てていない
- 振り切れていない
テイクバック(準備)が遅い
せっかくポジショニングがうまくいっても、テイクバックが遅いと慌てて打つことになり、フォームが崩れる原因になります。
相手が打ったボールがバウンドする前までにはテイクバックを完了させましょう。
また、テイクバックの際は、腕単体ではなく、腰から上全体をひねるようにし、しっかり肩を入れます。こうすることで体の運動連鎖が使えるようになり、威力が出ます。
腕がリラックスしていない
これは特に注意してほしいことです。
見た目は同じフォームでも、腕がリラックスしていないとすべてを台無しにしてしまいます。
こんな経験はないですか?
練習中は安定してボールが打てているのに、試合になった途端、ミスを連発してしまう。急にフォアハンドの打ち方が分からなくなってしまった。
これらは「絶対に打ち返したい」「ミスせず慎重に打ち返したい」と思うあまり、腕に余計な力が入ってしまって起こることです。
そもそもボールの回転というのは、意識的にかけるものではなく、無意識に発動する「伸張反射」という現象を活用したものです。「伸張反射」は腕をリラックスさせ、ある程度のスイングスピードを発生させることで起こります。
「フォアの打ち方が分からなくなった」というのも、無意識に発生する「伸張反射」を理解していないから、すぐに修正することができないのです。
脱力して思い切ってスイングすると、なんだかデタラメに打つことになりそうで、安定しない印象もありますが、むしろ安定するので、そこんところを理解しましょう。
体全体を使って打てていない
「体全体」というのは、「腰から上をひねる→膝を曲げて地面を蹴る準備をする→スイング時に地面を蹴って膝が伸びていく→体重が反対の足に移る」のことです。
手打ちのように、腕の小さい筋肉だけでショットを打とうとすると、ボールの勢いに負けてしまったり、ラケット面がぶれる原因になります。
必ず膝は曲げましょう!
すべては膝の曲げ伸ばしから始まります。膝を曲げれば、地面を蹴るパワーが使えて、運動連鎖により手打ちになりづらく、スイングも下から上への軌道になってネットミス回避。打点の高さ調整もできますよね!
振り切れていない
「最後までしっかり振り切れていない」=「回転が不十分」
試合になると「思い切ってスイングするとミスにつながるかもしれない…」と消極的になって、最後まで振り切れなくなってしまうことがあります。
しかし、これだとボールに十分な回転がかけられていません。回転不足はアウトの原因であり、フォアハンドの安定性から遠ざかってしまうのです。
むしろ、しっかり回転がかかっていれば、多少ミスショットをしてしまってもコートに収まってくれます。
フォアハンドを安定させるための練習方法
正しいフォームを学ぶ
世界で活躍するプロのテニス選手は、トレーナーを雇い、正しいフォームでフォアハンドを打てるように練習しています。プロになったからといって好き勝手なフォームをしているわけではないのです。
このことから分かるように、上達するためには正しい知識を身に付け、日々勉強しながら練習に励まないといけません。
ですから、最低でもテニスの本を購入して、一からフォームを学ぶべきです。
YouTubeもいいですが、誰でも発信できる分、よく分からない説明がされていることもありますから注意しましょう。
僕は『ゲイブ・ハラミロのMAKING CHAMPIONS』でフォアハンド・バックハンドのストロークを勉強しましたが、ここまで丁寧にストロークを習ったことはなかったので、かなり役に立ちました。
素振りでイメトレ
続いて、自分のフォームの見直し。学んだフォームをイメージし、再現できるよう注意して素振りをしていきます。
正しいフォームを頭で理解できていても、いざラケットを持つと普段のクセが出てきてしまって、なかなか矯正できません。
反復練習して体に記憶させていきましょう。
その際、自分の素振りをビデオに撮って客観的に確認すると効果絶大です。
壁打ち練習
近くにテニス用の壁打ち場があれば、実際にボールを打ってみましょう。
僕は頻繫に壁打ちをして、ボールを打った感覚を確認しています。
正しいフォームの知識があれば、「膝を曲げずに打つとボールを持ち上げにくい…」「腕がリラックスしていればよく回転がかかる!」のように考えながら打つことができます。
要するに、ミスショットした時に即座に原因が分かり、一瞬で修正できるようになるってこと。
まとめ
フォアハンドは、やみくもに練習したからといって、うまくなるものではありません。すでに悪いクセが付いていることも多いので、自己流の練習だけでは改善されないんです。
うまくなりたいなら、まずは知識を付け、自分の欠点を見つけ修正、練習することが大切。
僕は元々「テニスはひたすら打って練習すればうまくなる」と思っていた人間でしたから、学び直してから練習した時の衝撃は目から鱗でした。
今では、フォアハンドがうまくいかない時に何を怠っていたのか突き止めることができたので、半年以上のブランクがあってもすぐに本来のフォームを取り戻せるようになりました。