テニスラケットのガットを張り替える時、いつも聞かれて迷うのが「テンション(張る強さ)」です。
「テンションはいくつにしますか?」と言われても、いくつにしたらどうなるのかが分からないので答えようがありません。幸いにも各ラケットには推奨テンション数が「52 プラマイ5」のように記載されているので、その中間の「52」付近を選ぶ人が多いのではないでしょうか。
たしかに、無難に決めてしまってもいいでしょう。ただ、テンションによってボールの質や打ち方にどんな影響があるかは知っておいて損はありません。
そこで今回は、初心者向けに、ガットのテンションについて紹介していきたいと思います。また、この前僕がした練習の中で、高いテンションのラケットと低いテンションのラケットを打ち比べた時の感想も書いていきます。ぜひ参考にしてみてください。
テンションの高さで変わること
テンションが高い場合(ガットを強く張った場合)
ガットを強く張っているということは、ピンと張っているので弾力性が失われているということです。ボールがラケット面に当たるとすぐに離れてしまう性質があります。
トランポリンをイメージしてみましょう。もし着地するところがゴムではなく、木の板だったら。全然反発しません。そう、テニスでも同じことが言えます。テンションが高いとボールは飛びにくいのです。
そのため、パワーがある選手はテンションを高くすることがあります。例えば、ジョコビッチ選手やマレー選手はおそよ60ポンドで張っています。スイングスピードを速くし、的確にコントロールします。しかし、ガットに弾力性がない分、ボールの衝撃をダイレクトに受けるので、肘を痛めやすくなります。
また、テンションが高いとコントロールしやすくなると言われます。
あと、強く張っている分、切れやすくなります。
テンションが低い場合(ガットを弱く張った場合)
テンションを低く張ると、ガットに余裕ができて、その分弾力性が出てきます。だからトランポリンのように反発するようになります。
そのため、力が弱い初心者でも簡単にボールを飛ばすことができます。また、研究によるとテンションが低いほうが2度ほど上に飛ばしやすくなるんだとか。ネットミスしにくくなるってことですね。
プロテニスプレーヤーで言えば、フェデラー選手や錦織選手がテンション低めで、だいたい40ポンドくらい。
テンションが低い分、コントロールはしにくいと言われていますが、ガットは切れにくいので比較的長持ちします。
テニス初心者のガットのテンションは低いほうがいい
僕は過去10年間、ガットのテンションは53ポンドにしていました。使っている推奨テンション数の中間の、やや高め寄りです。
これは別にこだわっていたわけではなく、テンションを変えることを躊躇していたんですよね。もしテンションを変えて自分に合ってなかったら嫌だから。
しかし、先日チャレンジしてみました。同じラケット2本に、それぞれテンションを高くしたもの(57ポンド)と、低くしたもの(47ポンド)を用意し、打ち比べてみました。
するとどうだったか。先入観で「テンション高いほうがコントロールしやすいから、こちらのほうがいいはず」と思って高いテンションのラケットで練習してみると、全然ボールを捕らえられません…。ラケット面でボールを持ち上げようとしても、十分持ち上げる前に離れていってしまいます。結果、ボールが飛んでくれず、ネット連発…。対処法としてはスイングスピードを上げることでしたが、初心者にとっては難しいものがあるでしょう。てか、コントロールするどころかボールを飛ばせないんじゃ話になりません。フラット気味で打つ人はいいのかもしれませんが、僕はしっかり回転をかける派なので、合いませんでした。
対してテンションの低いラケットでは、ボールが簡単に飛んでくれます。特に良かったのが、ボールがラケットの真ん中に当たらなかった時でも、ある程度飛んでくれたこと。低いテンションはミスに寛容なんです。初心者はなおさらミスショットが多いでしょうから、テンションは低くすることをおすすめします。また、コントロールについては全然気になりませんでした。回転かかりやすいので、むしろコントロールしやすかったです。打ちやすいのもあるし。
だから初心者はまず、中間くらいか、それより低めのテンションでガットを張ったほうがいいです。いきなり高く張った状態から始めても上達の妨げになると思います。
まとめ
思い切ってテンションを変えて打ち比べてみてよかったです。やはりチャレンジ精神は大切ですね。