この記事を書いている時点では、妻が出産してからまだ1週間経っていません。忘れないうちに、立ち会い出産で感じたことを残しておきます。
僕は立ち会い出産に参加しました。その理由は、命懸けと言われる出産を控えた妻のそばに、長く居てあげたいと思ったからです。不安だらけの出産を1人で乗り越えるなんて、自分が女性だったら嫌ですから。少しでも心の支えになれればいいなと考えていました。また、自分はフリーランスで時間的に自由なので、「せっかく自分の子どもが産まれる瞬間に立ち会えるのに、それを拒むのは意味がわからない」と思っていました。自分にとって立ち会い出産への参加は必然だったんです。
出産当日は、自宅での破水から出産まで、ずっと妻のそばにいることができました。そして、この経験は自分の感性を大きく変え、心の底から感動させられました。
「立ち会い出産をして本当に良かった!」と、そう強く思っています。「出産」は男が経験できないからこそ、立ち会えるならしたほうがいい。今回は、立ち会い出産の体験談と、夫である僕の赤裸々な感想を書いていきたいと思います。立ち会い出産の参加に悩んでいる人、旦那に立ち会ってもらうか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
立ち会い出産の体験談
簡単に、破水から出産までの流れを時系列で書いておきます。
- 午前11時破水に気付き始める妻が「おりものか何かわからないけど、また出てきた」と言い始める。動く度に何かが漏れるようになり、漏れるのを意識的に止めることもできない。破水の可能性を考え、洗濯など、すぐ入院しても大丈夫なように準備を始める。
- 午後1時病院に電話妻が「破水かもしれません」と病院に電話。すでにまとめていた入院バッグを持って、病院に向かう。
- 午後2時破水と判明病院に到着。検査の結果、破水と判明。しかしまだ子宮口は1cm。赤ちゃんも下りて来てないので、出産の準備が整うのを陣痛室で待つ。
- 午後4時陣痛の間隔が狭まる子宮口はまだ1cm。しかし、陣痛の間隔が2~3分にまで狭まってきた。陣痛の痛みも増してきたが、まだ笑ったり、友達とラインできる余裕はある。
- 午後7時陣痛の痛みが増す子宮口は少し開いてきた感じ。だいぶ陣痛の痛みが強くなってきて、食事中に陣痛が来ると「痛い痛い痛い」と、食事どころではなくなってしまう。もうラインをする余裕はない。
- 午後8時心が折れ始めるようやく子宮口が3cmほど開く。陣痛は耐えられない痛みとなり、ベッドの柵を強く握るようになる。
- 午後10時和らげることのできない強烈な痛みに涙子宮口はまだ3cm。赤ちゃんの頭は骨盤まで下りてきていない。いつまで続くか分からない痛みに、完全に心が折れ、陣痛が来るたびに泣いてしまう事態に。
- 午後11時あまりの痛みに壁や柵を蹴り始める子宮口が開かない。陣痛があまりに痛いようで、握ったベッドの柵を揺さぶったり、壁を蹴り始める。その光景は壮絶。話かけても返す気力がないようで、応答せず、ぐったりしていた。
- 午前1時絶望子宮口が3cmから開かない。この事実を知った時の妻は「まだ…」と、信じられないといった声を出していた。見ていた僕もあまりにかわいそうだと思いはしたが、「できることなら変わってあげたい」などと気安く思えないほど壮絶だった。
- 午前2時半ようやく分娩室へ妻がいきみたくなってきたようなので、ナースコールで助産師さんを呼ぶ。すると、ずっと開かなかった子宮口がようやく10cm近くに。これを聞いた妻は涙ながらに「本当ですか?」と、少しだけ希望に満ちた声を出していた。ようやく分娩室へ移動。
- 午前3時準備ができてから夫も立ち会い開始妻が分娩室に入ってから30分ほど待ち、立ち会いの準備ができた時点で僕も分娩室に入った。
- 午前3時半無事出産妻がいきむ時は夫が背中を支えてあげて、しっかりいきめるようにフォロー。しかし、赤ちゃんの頭を出す時は大きな痛みがともなう。例えるなら、生きたまま解剖されている時に出すような、「あ゛ぁ…!」といった低くて残酷な声で唸っていた。6~7回、いきみを繰り返し、ようやく頭が出てきた。あとは体がスムーズに出てきて、無事に出産を終えた。
破水が起きたらなるべく早く病院に行く必要があるので、そこんところは早く気付けてよかったなと思いました。陣痛室に行ってからは、比較的しっかりした陣痛が来るようになったのが午後2時半。助産師さんから「2時半を本陣痛の開始にしますね」と言われました。そこから出産を終えるまでちょうど13時間(午前3時半)。
立ち会い出産をしている時は、ずっと妻の頭の横辺りで立っていました。いきむ時は背中をベッドから離すので、いきみやすいように背中を下から支えました。それまでの陣痛の時もものすごく痛そうにしていたのに、出産の時になるとさらに痛そうで、見ていて本当にかわいそうになりました。赤ちゃんの頭が出そうで出ず、妻が放った「痛いぃ!」という泣き声を聞いた時には、心が張り裂けそうになりました。また、「母子共に無事に終えてくれ…」「早く終わってくれ…」と思ってあげることしかできず、自分の無力さも感じました。
出産の光景はあまりに壮絶で、立って見ていただけなのに僕も低酸素状態になり、頭がクラクラ。最終的には体全身、心臓までビリビリ痺れてきて、まるで以前富士山に登った時に発症した高山病のような状態に。血の巡りが悪くなってきたと感じたので、立ち会いの途中で水分補給しに陣痛室へ戻り、ペットボトルがぶ飲み。少し落ち着きを取り戻し、立ち会い再開。妻がいきむこと数回、ようやく赤ちゃんが産まれてきたのでした。
「立ち会い出産で旦那が倒れることがある」と聞いていましたが、倒れる理由が今なら分かります。冷静に見ていられません。僕は毎日体重計に乗っているのですが、立ち会い出産の前後で、体重61.6kg→61.2kg・体脂肪率16.6%→12.8%・体幹皮下脂肪率10.0%→7.9%・体年齢27歳→24歳と一気に下がり、多くの脂肪がエネルギーに変換され、若返ったようでした。こんな急激な変化は今までありません。まぁ、次の日にはすべての数値がほぼ元に戻ってしまいましたがw
とりあえず、感情移入しやすい旦那さんなどは、立ち会い前にしっかり水分補給しておくことをオススメします。
出産に立ち会った夫が感じた4つのこと
妻への大きな感謝
「出産は命懸け」
この言葉を聞いたことは何度もありました。しかし、「今は医療も発達しているから、命を落とすことはほとんどないだろう」と安易に考えていたんですよね。でも、実際に見ると、本当に命懸けでした。
どんどん強くなっていく陣痛の痛み、何時間も開かない子宮口、メンタルが折れてしまうほどのストレス、これらを乗り越えなければなりません。あまりの痛みに、呼吸ができず「息ができない」と訴えていることも何度かありました。
もし、まだまだ子宮口が開かず、先に妻の体力が尽きてしまったらどうなるのだろう…?あまりの痛みに気を失ってしまったらどうなるのだろう…?本気で「死んでしまうのでは?」と心配になるほど、壮絶だったんです。
そして最終的には無事に出産を乗り越えることができ、可愛い赤ちゃんを産んでくれました。よく乗り越えられたなぁと思います。本当に感謝です。
妻の体に負担がかからないように支えていきたいという気持ち
出産を終えた女性は、その後体の修復が始まります。子宮や骨盤が元に戻っていくんです。その期間は1ヶ月や6週間で、しっかり体を休めなければなりません。
立ち会い出産を経験していれば、その意味が痛いほどわかります。ミルクやオムツ交換など、できることはなるべく夫がやる努力をすべきだと感じました。
今は授乳の態勢がしっくりきてなくて、「背中が痛い」と言っていたりするので、少しでも楽に授乳できるように情報収集もしていきたいです。あと、ついつい赤ちゃんだけに気持ちが向きがちですが、妻への気遣いを忘れないようにしなければ!
親への感謝
出産に立ち会ったことで、出命懸けで出産してくれた妻に感謝するのと同時に、自分の親にも、より感謝するようになりました。だって、親が壮絶な出産を乗り越えてくれたからこそ、今の自分がいますから。
また、赤ちゃんのお世話をしていると、「大変だな」と思うことがたくさん出てきます。何度もオムツ交換するし、ゲップがスムーズにいかないし、沐浴も、準備して素早く終わらせないといけないから気を使います。それらを親もやっていたと思うと、本当にすごいなと思います。
これまでは母の日、父の日、両親の誕生日に、気まぐれでしか贈り物をしていませんでしたが、これからは感謝の気持ちが伝わるように毎回何かしてあげたいです。いや、ホントに。
自分をもっと大切にしなきゃいけないと感じた
自分の子どもが出来て思ったこと、それは、健康で幸せに生きていってほしいということ。
自分がそう思うということは、自分の親だって、自分に対してそう思っているかもしれません。そう考えると、もっと自分のことを大切にしなきゃいけないなと感じました。
まとめ
ネットや雑誌などで「妻が出産するところを見た旦那が幻滅した」「妻を女として見れなくなった」みたいなことが言われることがありますが、とんでもない。その逆でしょうよ。尊敬したし、女性として大切にしなきゃいけないと思いましたから。
ここまで書いてきた通り、立ち会い出産は僕に多くのことを教えてくれました。価値観が変わりました。今では、心の底から「出産に立ち会えて良かった」「破水、陣痛~出産まで、すべて見届けられて良かった」と思っています。